上場株式等の有価証券は「金融商品取引法」で規制されていますが、暗号資産は「資金決済手段」として、「資金決済法」で規制されてきました。
しかしながら、暗号資産取引の多くが売却益を期待した取引であり、暗号資産投資が増加している中、投資家保護の観点から適切な情報提供を暗号資産発行者や交換業者に義務づけるなど、投資家が安心して投資しやすい環境を整備するため、根拠法を「金融商品取引法」へと見直し、暗号資産を金融商品に類するものと位置付けることになりました。
暗号資産による所得は、雑所得として「総合課税」が適用され最大55%(所得税45%・住民税10%)の税率が課されてきました。また損失が生じた場合に、損失の繰越控除も認められないため投資家に過度な税負担となっていました。
改正により、所得税15%・住民税5%を合計した20%の「申告分離課税」が適用され、損失が生じた場合に3年間の繰越控除や損益通算が認められることとなりました。
申告分離課税の対象となる暗号資産は「特定暗号資産」に限定されます。
「特定暗号資産」とは、金融商品取引業者登録簿に登録されている業者を通じて取引されるものです。
特定暗号資産の「現物取引」、特定暗号資産を原資産とした「デリバティブ取引」、今後組成可能となる特定暗号資産を投資対象とする「ETF(上場投資信託)」の3つが対象となります。
3年間の繰越控除や損益通算はすべての金融資産との間で実施できるわけではないので注意が必要です。
「特定暗号資産」に該当しない暗号資産の譲渡益は、引き続き総合課税の対象となります。
・譲渡所得の特別控除(最高50万円)の控除はできない
・5年を超えて保有した資産に係る譲渡所得の金額の計算上2分の1とする措置は適用できない
・譲渡所得の計算上生じた損失は、他の総合課税の対象となる所得との損益通算ができないことに注意が必要です。
取得時より著しく値上がりした暗号資産を相続して売却すると最大で合計100%(相続税55%・所得税45%・住民税10%)を超える税負担が生じる場合もあることが指摘されてきましたが、特定暗号資産の取引に申告分離課税が導入されれば、一定程度軽減されることも考えられます。
また暗号資産に係る相続評価についても改正される可能性があります。
金融商品取引法の改正法が施行された翌年1月1日以後から適用されます。
暗号資産への投資がしやすい環境にはなりますが、投資リスクの大きい商品であることに変わりありません。リスクを踏まえた慎重な投資判断が一層求められることになるでしょう。
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