iDeCoとは、将来の老後資金に備えて自分で積み立てを行い、運用する私的年金制度のことで、積立時・運用時・受取時に手厚い税制優遇を受けることができます。
●積立時:積み立てた掛金は、全額所得控除の対象になります。
●運用時:掛金を運用して得た利益は全額非課税となります。
●受取時:一時金受取の場合には退職所得控除の対象となり、年金受取の場合には公的年金等控除の対象になります。
さらに、加入要件はあるものの基本的には20~64歳までの国民年金・厚生年金の被保険者であれば原則誰でも加入ができ、なおかつ掛金の最低額は月額5,000円となっており1,000円単位で自由に設定できます。そのため老後の問題が重要視される昨今に、資産運用を始める上で比較的ハードルが低く、気軽に始めやすい制度といえます。
しかし、上記で述べたメリットの他にデメリットもあります。
・原則60歳まで引き出せない
・元本割れをするリスクがある
・手数料がかかる
・掛金額に職業別の上限がある
・資金を受け取るときに課税される場合がある
その中の『資金を受け取るときに課税される場合がある』については、今までiDeCoの一時金を受け取った後、5年以上経過してから会社の退職金を受け取れば、それぞれに対して退職所得控除を適用できましたが、2025年の税制改正により経過期間が5年以上から10年以上へと大幅な変更となりました。(通称:5年ルール、10年ルール)
そのため60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取る予定の人は、間隔が10年未満のため、退職金の控除額が減額される可能性があり、税負担が増えることになります。(令和8年1月1日より)
このようなことを回避するための対応策として下記の2つの方法が考えられます。
【方法①】60歳で一時金を受け取り、10年以上経過した70歳以降に会社の退職金を受け取る。
この方法であれば、iDeCoと会社の退職金それぞれで退職所得控除の適用を受けることができます。
【方法②】iDeCoを年金形式で受け取る。
年金形式で受け取ることで退職所得から雑所得に変わり、退職所得控除の重複を回避することができます。
以上のように、iDeCoは解約するタイミングや受け取る方法によって税額が大幅に変動する可能性があるため、注意が必要です。
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